なかがわ家庭保育室 食と暮らしの安全

子どもの安全のために 
 なかがわ家庭保育室では、子どもたちの体に悪影響を及ぼす化学物質をできる限り排除して、食事には無農薬野菜や無添加調味料を使うなど、子どもたちの健康に配慮した保育を行っています。
 化学物質の子どもたちのへの悪影響について、より深く考えるようになったのは、妻が「化学物質過敏症」を発症したことがきっかけになります。見栄えの良い野菜の農薬・化学調味料・蚊よけのスプレーや蚊よけマット・たばこの煙・大気汚染・・・・。有害物質の恐ろしさに改めて気づかされました。
 さらに、この化学物質は大人よりも子どもの方が影響を受けやすいと言われています。未来を生きる子ども達に健康に育って欲しいと考え、食べ物や空気の安全に気を配った保育を行っています。

子どもは大人よりも化学物質に敏感
 子どもは大人よりも化学物質に敏感であると言われています。原因は大人と比べて「脳が未発達」であること、そして大人との「生活環境」の違いにあります。また、乳幼児だけでなく胎児も母親の胎盤を通じて化学物質の影響を受けているのです。

@化学物質を取り込みやすい子どもの脳
 脳神経系に化学物質の受けやすいのは胎児期と乳幼児期です。成熟した脳には血液中の有害物質を取り入れないための「血液脳関門」という仕組みがありますが、胎児期と乳幼児期は「血液脳関門」が完成していないため、大人よりも多くの化学物質を体の中に取り入れてしまいます。つまり、胎児期や乳幼児期は脳が発達する大切な時期であるにもかかわらず「血液脳関門」という防御機能も発達していないので化学物質の影響を受けやすいのです。

A子どもの生活環境
 体のサイズが小さく特有の生活リズムを持つ子どもは、大人以上に化学物質を体内に取り込む危険性が高いのです。
 例えば・・・・
乳幼児は外気に触れる時間が短く、室内で生活することが長いので、新築でシックハウスの場合、大量の有害物質を吸い込んでしまいます。
ハイハイの状態や歩けるようになっても呼吸器の位置が低いので、空気よりも重い化学物質は床周辺にたまり、それらを吸い込みやすく、畳の防虫剤やシロアリ駆除剤、化学合成されたワックスの影響を受けやすい状態です。
外出時は呼吸器が車のマフラーの位置と同じくらいなので濃い排気ガスを吸いやすいです。
「環境ホルモンが含まれたプラスッティック製おもちゃ」「タバコの吸殻・医薬品・洗剤の誤飲」「公園に撒かれた除草剤や殺虫剤を含んだ土や草花」など、大人であれば口にしないような物を乳幼児はあっという間に口の中に入れてしまいます。

B胎児にも化学物質の影響

 乳幼児期だけでなくお母さんのお腹の中にいるときも化学物質は子ども達に悪影響を及ぼします。
 例えば、妊娠中に鎮静睡眠剤の「サリドマイド」を服用した母親から「サリドマイド児」と呼ばれる障害を負ったお子さんが生まれ、水俣病でも、母親の摂取した魚に含まれていた「有機水銀」によって「胎児性水俣病」が発症し脳への深刻な影響がありました。「カネミ油症事件」でも、妊娠中の母親から生まれたお子さんは亡くなったり、発育障害が残りました。タバコの有害物質は胎盤を通じて胎内の赤ちゃんに蓄積されていきます。喫煙環境にあるお子さんは「乳幼児突然死症候群」の発症も多いです。
 現代の日本には「サリドマイド」「有機水銀」「カネミ油」以外にも様々な化学物質が溢れています。妊娠前から有害物質を取り込まないよう気をつける必要があります。

化学物質の少ない保育をめざして
 子ども達が、いかに化学物質の影響を受けやすいか、また、化学物質が子どもの体にいかに深刻な影響をもたらすか、分かって頂けたかと思います。私の保育室では食べ物や空気、さらには石鹸に至るまで気を使って、子ども達にとって安全な保育環境を整えています。

@食べ物
 市販の野菜や果物には農薬が散布されていますので、生協さんや、自然食品店から無農薬野菜や無添加調味料を購入したり、週末農業で栽培した旬の自家製無農薬野菜で子ども達の食事を作っています。おやつを買う場合でもアミノ酸(化学調味料)が入っていない、安全なお菓子を購入しています。牛乳は一般の高温殺菌のものでは焦げたようなにおいがして美味しくないので、低温殺菌の牛乳を厳選しています。一般食品より値段が高いのですが、安全には替えられないと考えています。

A空気
 遊んでいる子ども達を常に取り囲んでいる空気。子ども達には、より安全な空気を吸って成長してもらいたいものです。「空気なんてどこでも同じ」と考えていらっしゃるかもしれませんが、全く違います。 
 呼吸から取り込む有害化学物質の健康影響は大きいと考えられています。食べ物から入ってくる化学物質は小腸で吸収されると肝臓へ送られ、解毒作用を受けるのに対し、呼吸器を通して入ってくる化学物質は肝臓の解毒を受けずに直接肺から血液に入ってしまうからです。
 夏になると、緑の多い、保育室の周りでは蚊が発生します。蚊よけのスプレーを子どもにかけている風景を見かけますが、大変危険です。もし、使うにしてもハーブ系のものにしましょう。保育室では、家の中に蚊が入らないよう網戸で防ぎ、出入り口の外で、化学合成されていない「除虫菊」で作られた蚊取り線香を炊いて虫刺されから守っています。
 
B石鹸
 アトピー性皮膚炎のあるお子さんは皮膚科で石油製品である「合成洗剤」から天然油脂からできた「石鹸」へ替えるよう指導された方もいると思います。アトピーのお子さんはもちろんの事、健康なお子さんも石鹸で洗った衣類が安全であると感じています。

おわりに
 人類は今日までに1000万種類以上もの化学物質をこの地球上に誕生させたと言われています。その中で私たちの生活と関係が深い化学物質だけで10万種類にもなります。その上、現在でも毎年、約1000種類もの新しい化学物質が登録されていると言われています。
 様々な化学物質のおかげで農産物の大量生産、便利で安価な製品開発に結びつき、50年前に比べるととても快適な生活をしています。しかし、それら製品の廃棄処分や残留毒性まで考慮して開発されていなかったのだと思います。
 皆さんが、利便性や効率安さに惑わされず、安易に化学物質を使いすぎた生活を見直し、環境と健康を見直すきっかけになっていただけることを願っています。
 
参考文献
「化学物質過敏症から子どもを守る」 北條祥子 芽ばえ社